
パパとママのタカラモノ。
第3章 新生活。
―――翌週の水曜日。
私は車椅子に点滴を固定され
両親学級へと向かった。
両親学級は母親学級と共に
外来の妊婦さんも参加するため
病院着に車椅子の私は
かなり目立っていた。
「斎藤さん、辛くない?平気?」
と付き添いの看護師さんが
早くも心配をしている傍ら
智ちゃんは大あくび‥。
今回のテーマは『陣痛と出産』
最初にビデオを見た。
「いやぁぁぁー!!!出ちゃう!!」
「痛い痛い痛いッ!!」
「ああッ――う゛~ん‥」
「裂ける~!!早く出して!!!」
女性がタオルを噛み締めて
必死に痛みに耐えている場面だった。
旦那さんと思わしき男性が
必死にうちわで扇いで
腰を精一杯さすっている。
私は
テレビの画面から
目が離せなくなった。
陣痛が始まれば
私もあの女性のように
悲鳴を上げて
悶え苦しむのだろうか‥
知らず知らずの内に
手に力が入っていく。
奈央「怖い‥。」
気が付くと口に出していた。
