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パパとママのタカラモノ。

第3章 新生活。




智ちゃんは、これまで一度も
お腹を触ってくれたことがない。
お腹に耳を当ててくれたこともない。


「お父さん、声かけは大事ですよ。」


と散々看護師さんに言われても、
お腹に声かけをする気などなかった。

胎動を初めて感じたときも


奈央「ほら、今蹴ったよ!」


と私が興奮して言っても、


智也「そっかぁ。」


って一言だけで
携帯画面を見つめたまま
ただの一度も触ってくれなかった。

また20歳という若さの為に
『遊びたい!!』という衝動が
抑えられていないのも
私にとって悩みの一つでもあった。

こないだの事故だって
後から義理のお父さんに聞いた話だけど


「あいつ、前日の深夜にツレに誘われて、山走ってきたみたいだぞ。んで帰って来たのは朝方で、寝不足で寝坊。結果、あのザマだよ。」


妻が入院しているのを良いことに
自分は遊び回っていたらしい。

それに対して問い詰めると、


智也「子供が産まれたら中々遊べなくなるし、今を楽しまなきゃな!」


開いた口が塞がらなかった。


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