
パパとママのタカラモノ。
第3章 新生活。
当てつけかもしれないけど
元々入院したのだって
智ちゃんにも原因がある。
と私は思ってた。
―というのも入院する前々日に
智ちゃんの友達総勢15人程で
毎年恒例の焼き肉パーティー兼、
翌日から仕事頑張ろう!!的な
焼肉屋での集まりがあった。
男性15人、女性は私だけの
一見逆ハーレムな状態だけど
ただの走り屋の集まり。
私は体調が思わしくなかったので
一度は断ったが、
智也「ツレが嫁さんも連れて来い。って煩いんだよ(笑)」
そんなの断れば良い。
私は妊娠6ヵ月で
なるべく安静にと
いわれてる身なのに‥。
とは思いつつ、
半ば無理矢理連れていかれた。
案の定、途中で体調を崩した。
智ちゃん以外のおツレさんは
みんな独身だから何も知らないのか
妊婦の私の前で煙草を吸い続けている。
煙がコッチに来てもお構い無し。
あまりに耐えられなくなって、
智ちゃんの服の裾を引っ張って、
奈央「煙草、やめるように言って‥。」
と言っても、智ちゃんは
私の頭を撫でて、聞き流すだけ。
19時集合にもかかわらず
独身の男性陣は21時を過ぎても
帰ろうとしない。
お腹が張ってきた。
それに吐き気も‥。
隣で馬鹿笑いしている
智ちゃんを残して
私はトイレで吐いた。
お腹はガッチガチ。
胎動もあまり感じなかった。
席に戻り、
奈央「赤ちゃん、動いてないんだけど‥。」
と智ちゃんに耳打ちすると、
智也「夜だから、寝てるんだよ。」
もう我慢できなかった。
もう一度トイレに行って
智ちゃんと共通の友人に
電話を掛けた。
「もしもし?どしたんー?」
私は泣きながら全てを話した。
「はぁー!?ざけんなよ!!妊婦をこんな時間まで連れ回しといて、奈央ちゃん放置って、智ちゃん最低やな!」
走り屋とか車の知識とか
私には分からないのに
何で連れて来られたのか
意味が分からなかった。
「智ちゃんと代わって!!ウチが喝入れたるわ!」
友人はそう言ってくれたけど
トイレの扉をそうっと開けると
智ちゃん達貸し切りの座敷は
どんちゃん騒ぎになってしまってる。
奈央「今は無理みたい。話聞いてくれただけでも、少しは楽になった。ありがとう。」
そう言って私は電話を切った。
