
『幼なじみ』
第26章 偵察
そして・・・
余りの
突然の出来事に・・・
たじろぎ・・・
全身が
硬直してしまった拓弥には
有無も言わさず・・・
組んでいる肩に
体重を掛けて来る春斗は・・・
そのまま・・・拓弥を
前へ押すように
グイグイ進んで行き・・・
途中・・・
パパッと拓弥の髪を
手櫛で整えながら・・・
静かに耳元で
問い掛ける・・・。
「拓弥・・・?今日まだ・・・
喜多見さんとは・・・
会ってないよね・・・?」
頷く拓弥を
素早く確認した春斗は・・・
組んでいた肩を
パッと離し・・・
今度は・・・
拓弥に
寄り添うように
歩調を合わせながら・・・
勢いよく喋り出す・・・。
「つか・・・
よーく・・・聞いてよ・・・?!
さっきさ・・・
兄貴と乾杯済ませて・・・
VIPルームで
拓弥・・・待ってる間・・・
弟ってバレないように・・・
シャンパン片手に・・・
俺のファンの女の子達を
相手しながら・・・
俺・・・
部屋の中の様子・・・
色々・・・探ってたのよ・・・。
そしたらさ・・・
なんと・・・!
満面の笑顔で・・・
待ちに待った
喜多見さんが・・・
VIPルームに
まんまと
現れたんだよッ・・・!」
ハリウッド映画で・・・
スパイが・・・
大きなミッションを
遂行するかのような・・・
そんな
高揚感を醸し出す春斗は・・・
目を大きく見開くと・・・
子供のように
キラキラと
輝かせた・・・。
