
『幼なじみ』
第21章 回想
目の前に広がる・・・
二十畳ほどの・・・
暗闇に包まれた
空間には・・・
只、ぼんやりと
赤い電球が・・・
所々に
点灯しており・・・
他に
明かりらしきモノが
一切見当たらない為か・・・
更に妖しく
淫靡な空気が
漂っている・・・。
目を凝らすと・・・
何十脚もの
二人掛けの
真っ黒なソファーが・・・
映画館のように
同じ方向を向き・・・
等間隔に
置かれているのが
見える・・・。
ソファーの間隔は・・・
隣同士が
顔を突き合わせ
ないよう・・・
かなりの距離が
取られており・・・
ソファーでナニを
しようが・・・
端からは一切
何も見えない状態に
なっていた・・・。
「ねぇ悠希・・・
何かVIPの雰囲気・・・
変わったよね・・・?
前来た時・・・
こんなに暗かったっけ?」
流行りのハウスが
程良いボリュームで
流れる中・・・
いつもと違う
VIPルームの光景を
目の当たりにした
美波が・・・
驚きを隠せない
様子で・・・
あたしに
耳打ちしてくる・・・。
近くでも
ぼんやりとしか見えない
美波の表情は・・・
どことなく
不安げで・・・
段々と
美波の心拍数が
上がって行くのが・・・
嫌と言うほど
伝わって来た・・・。
