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理想と偽装の向こう側

第19章 罪悪感?

「小田切さんが…どうしたのよ…。」



脈動が早まるのを感じる。

嘉之は…何か知ってるの?



誤魔化すかの様に、顔付きを若干強面にして、



「何でもねぇよ…。早く検査しろよ。どちらにしても、イタリア行きの時は籍入れればいいだろ!」



なっ!話が振り出しに、戻った。



「どちらにしても、イタリア行かないし!私は嘉之にもう関わらない!」



「香織っ!」



嘉之の顔が、怒りで歪んだ。



「さよならっ!」



肩に掛かった手を振り払い、車から飛び出て走り出す。



「香織!絶対、連れて行くからな!」



背中に嘉之の叫び声を受けながら、私は必死で走った。 



例え小田切さんとの未来が無かろうと、嘉之にだけは二度と戻らない!



そうだ、私は小田切さんに出会った時に、決別を決意したんだ! 



止めた時を動かすかのように、真っ直ぐ前を向いてマンションに走って行った。


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