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理想と偽装の向こう側

第19章 罪悪感?

「はぁ…んっ…。」



「香織…。」



囁く嘉之の声が、いつもより甘く優しくて…私の感覚を麻痺させていく。



お腹に載せられた手が、温かかった。



小田切さんとの視えない未来。
具体化されていく、イタリア。
妊娠してるかもしれない現実。



色んな理不尽な出来事が、私の思考をショートさせる。



私は無意識に、嘉之の首に腕を回していた。



触れてる手が…唇が…小田切さんだったらいいのに…。



お腹に嘉之の子が、いるかもしれない…嘉之に労るように触れられてる…。



でも、私は全てを小田切さんに摩り替えてしまいたかった。



「あ…。はぁあ…。」



甘声が自然と漏れ、舌を自分から絡めだす。



濡れた唇を離し、嘉之は私の耳元や顎に咥えるように、這わせていく。



「んっ…。」



首もとに舌が触れる…小田切さんが触れた場所。



「あぁ…小田切…さ…ん…。」



「えっ…。」



嘉之の動きが止まる。



「あっ…。」



自分も固まった。


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