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理想と偽装の向こう側

第18章 永久と再会

飲み込むのが辛いのか、少し顔をしかめるが、喉を通ると潤んだ大きな瞳は、嬉しそうに俺を見上げる。



俺は胸が締め付けられそうになった。



「美味しい?」



「う~ん…あんまり~。」



気不味そうに言うが、抗がん剤の副作用だろう…多分、味覚が麻痺してる…。



「そうだよね…申し訳ないけど、味気無さそうだし。」



俺は片目を瞑って、冗談ぽく言った。



「へへ…でも、今日は美味しく感じる~。」



「そう!凄いね!」



気持ちがそうさせるんだろうか



「最大の調味料だね…。」



「最大の調味料?」



光花はニコニコして、俺にその笑顔を向けながら



「志信さんの愛情~!」



その笑顔が、気持ちが余りにも可愛くて切なくなって、泣きたくなるのを堪えながら



「ははっ!愛情か!だったらいっぱいあげるよ!」



「えっ!えっ!いっぱい!」



光花は俺の切り返しに、真っ赤になる。



『愛情』…か。



それで君が元気になるなら、何でもするよ…。


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