テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第18章 永久と再会

腕を見れば、点滴の痕が痛々しい。



治療と言っても、ただ余命までにたどり着かせるだけのものだ。



半年持ったら、よく頑張ったの一言で終わらされてしまいそうで、遣る瀬無い気持ちになる…。



俺は無意識に、唇を噛んでいた。



「光花…もう少し食べてみる?」



「あ…うん!元気出てきたから、食べれるかも!」



笑顔で答える彼女の前に、台を用意し食器が載ってるトレーを運ぶ。



元々味気ないご飯が、冷めてしまっていて、食欲はそそらない感じだが、俺は器を手に取って、スプーンで掬って光花の口元に運んで



「はい。あ~ん!」



光花は一瞬ビックリして



「えっ!えっ!自分で食べるよ~!」



と、慌ててたが



「いいから!あ~んして!」



「え…あ~……。」



パクリ!と、一口含み飲み込む。



「う…んぐ…。」



「もう、一口食べれそう?」



「うん…。」



照れ臭そうに笑う光花に、もう一匙運ぶ



「あ~ん…。」
「あ~…ん…ん。」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ