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理想と偽装の向こう側

第17章 希望と絶望

「今後の治療方針ですが、延命治療として抗がん剤が中心になる予定です。」



マニュアルの様に、話は進められていく…これは、動かせない現実かの様に…。



治療の話が、一段落し続けて医師は



「本人への告知なんですが…光花さん自身も医療知識があるので、使う薬で自分の病状は把握してしまうと思います。医療に携わるものは、それで精神的にきてしまう人も少なくは、ありません…。でも、病名は伝えた方が治療の面では、必要かと。」




多分、冷静に判断させる為に静かに抑揚なく話してるんだろうけど、どうしたって平常心で居られなかった。



「告知…しろと…。」



俺は、頭が真っ白になりかけながら一点を凝視し、膝の上に載せてた両手を痛くなるくらい強く握りこぶしを作る。



さっきまで、一緒に笑ってたんだ!



ついこないだまで、未来を語り合ってたんだ!



今まで苦労してきた分、絶対幸せにしてあげようと、誓ってたんだ!



それなのに…未来は無い事を告げなきゃいけないのか!



『死』を眼前に突き付けるのか!

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