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理想と偽装の向こう側

第17章 希望と絶望

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「小田切さんっ!光花は?」



光花は、勤務先の病院に搬送され、俺は自分の車で後を追った。



検査結果を待ってると、光花の面影がある、小柄の女性が駆け付けて来たので、俺は待合室の椅子から立ち上がる。



「お義母さん…。意識は戻って安静にしてます。」



「そう…ごめんなさい。光花が心配かけさせて…。」



青冷めた顔で、俺を気遣う…こういうところは、母親譲りなんだろう。



「いえ…自分こそ…側にいながら、こんなことに…申し訳ありません。」



唇を噛みながら、お義母さんに頭を下げた。



「小田切さんは…悪くないわ…。元々、胃は弱かったし…父親は胃癌で亡くしてるから、気にはなってたんだけど…。」



胃癌…。



死因までは、光花は話した事なかったし敢えて俺も触れてなかったから、知らなかった…。



一気に背中に、ザワザワと張り付くような感覚が這い上がる。



「水越光花さんのお身内の方~どうぞ!」



「はい…。」



俺も一緒に付いて行こうとしたら、



「貴方は?」



「婚約者です!」

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