テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第17章 希望と絶望

「大丈夫なの?仕事、キツい?」



「う~ん…仕事は、大丈夫なんだけど…元々、胃は強くないからかな。簡単に検査してもらったら胃炎って言われて。でも、お薬もらったから、しばらくしたら落ち着くと思うよ!」



それにしても、青白いんだよな…。



「そっか…余り無理しちゃ駄目だよ。疲れた時は、休みな。今日は、もう帰ろう。」



「うん…ごめんね…。」



シュンとしてしまった…。
人に気を使い過ぎるからな…。



「光花…じゃあ最後に眼を瞑って…。」



「眼を?うんっ!」



光花は、何の疑いもせずに眼を瞑る…長い睫毛が可愛い…小さな唇が薄く開いていて、パックリ食べたくなる。



ぷっ相変わらず、素直だよな…。



「そのまま両手出して…。」



「うん…。」



宙に浮かせて、両手を差し出す。



お手っ!とか、しそうになったけど、堪えて光花の左手を取り、薬指に光るリングをはめた。



「も~いいよ~。」



「あっ!サイズ直ったんだ!」



瞬間、花開く笑顔になる。



「そう…昨日取りに行ってきたんだ。遅くなって、ごめんね。」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ