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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

「ありったけの…嫌な思い出…。」



辛かったことを片っ端に思い返すと…。



うっ!切なすぎる!



「…生きてく自信がなくなりそうになるよ…。」



「はぁ?なに自虐的になってるのよ。本当に嘉之と戦う気あんの?」



「あるよ!」



黎子は疑いの目で私を見ながら



「嘉之も小田切さんも、何で香織じゃないと駄目なのかしら。」 



「小田切さんも?小田切さんは、責任感じてるからじゃ…。」



黎子はフォークを下唇に当てながら、考えた風に



「うどんパーティーから気になるのよね…。香織じゃないと駄目なんでしょ…。同棲以前に、どこかで会ってないの?」



「へっ?どっかで…?」



何処かで…?
う~ん…あんだけイケメン忘れるかな~。
案外、覚えてる方なんだけど…。
わ、分からない…思わず唸ってしまう。



「う~ん…。」



「まっ、心当たりがないなら、真実は小田切さんの胸の内ね…。嘉之は香織が、甘やかし過ぎたのよ。」



「全部、甘やかしだったのかな…。」



「嘉之の全てを香織が、塗り替えちゃったんじゃないのかしら。」



えっ…嘉之の全てを…。



「逆だよ!私の全てを嘉之は、染めようとしてたんだよ!」



「そうね…でもそれは、途上…。嘉之はとっくに、香織一色になってたのよ。」



「私…一色に…。」



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