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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

確かにきっかけは、お互いの失恋だった…。



でも、短い間でも積み重ねたものがあったはず…。



なにより小田切さんは、いつも私のことを労って励ましてくれていた。



嘉之で繋がってる関係なんて、思いたくない。



そうこうしている内に、私のアパートの駐車場に着いた。
ちゃんと送り届けてはくれ、ホッとする。 



「あ、ありがとう…じゃあね…。」



「毎日、迎えに行ってやるよ。」



へ…今なんと?



「ずっと、会えなかったんだし、イタリアの計画も進めたいしな。」



嘉之の中で話が勝手に進んでる。



「嘉之…私、イタリア行かないって言ったよね…。」



「毎日一緒に居られるんだぜ?今まで、ずっと離れてたのが解決するんだから、いいんじゃねぇの。寂しかったんだろ?」



「そう…だったけど…。」



理由は、そこじゃないような…。



「じゃあ、もう小田切に相談するのも、会う必要もなくなるよな?」
「…えぇっ!」



事情を知らない嘉之は、ドンドン切り離しにかけてくる。 



理屈はそうだ…でも、理屈じゃないし、一緒に居てもこの上下関係が変わる気がしない…。



だけど…小田切さんの心も、分からない…。



嘉之の強引な理屈に、頭が混乱しかかりそうになる。



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