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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

「あ~疲れた…。あっ!旨そう~!」



小田切さんの声に、私は胸の奥ジーンとした。



無意識に近く、ドアまで近寄り座り込んで、膝を抱えて。



パタパタやガチャガチャと、小田切さんが響かせる生活音に、板一枚向こうに小田切さんがいると思うと、それだけで幸福感が満ちてきた。



「ビール飲も~!」 



ぷっ…独り言でも、キャラが変わらないんだね。



今すぐ飛び出して、抱き付きたくなる。



小田切さんは、利用していいと言ってくれる…。
でも、どんどん甘えてしまうほど、この甘美な関係から抜けられなくなりそうで…
少し怖い…。



でも、それが私と小田切さんを繋ぐもの…。



なのに…嘉之とあんなことまでして、いくらなんでも都合良すぎるよね…。



「はぁ…。」



小田切さんが、冷蔵庫からビールを取り出し、リビングに向かう足音が…止まった。



あれ?
その瞬間…



「コンコン!」



部屋のドアが、ノックされ



「香織ん、起きてる~!?」



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