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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

部屋に入ると、小田切さんはまだ帰ってなかった。



「金曜日じゃないから、残業かな…。」



ホットしたような…寂しいような…。



でも、今日は早く寝てしまいたかった。



軽く食べれそうなものを作って置いておく。 



月曜日から木曜日の私の日課になっていた。 



小田切さんは、笑顔で美味しかったと言って、いつも食べくれている。 



その笑顔が、見れるのが私の細やかな幸せだった…。



時計を見ると22時だったが、もう寝ることにした。



ベッドに入ったが、瞼を閉じても、嘉之に刷り込まれた感覚と記憶が、波の様に襲ってきて、叫びそうになる。



「助けて…。」



布団に潜り込み丸くなり、また涙が溢れだす。



こんな毎日を繰り返してしまうのかな…。



元木さんの時の様に、小さい亀裂が、破壊を招く。
嘉之は、私と小田切さんの間に亀裂を入れようとしている…。



そして、私を雁字がらめにする…。



怖いよ…小田切さん…!



その時
「ガチャ…バタン!」



「たっだいま~!あれ?香織ん、寝ちゃったかな?」



小田切さんの声が、聞こえた。


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