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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

小田切さんの元に帰りながら、嘉之との出来事が何度もフラッシュバックしてくる。



思い出さないようにしても、時限爆弾がいつ発動するのかと思う度に、足首掴まれ泥沼に引き摺り込まれていく様だった。



小田切さんの前で平静を装えるかな…。



折れない様に、壊れない様に…平常心を保てます様に…。



橋に差し掛かり、川の流れの先の遠くまで、眼を細めて見詰めた。



いっそ…ここから飛び込んで、全てを流してしまいたい。 



「ははは…私、そんなおセンチなキャラだったっけ?」



薄ら笑いを浮かべた。



あぁ…今度スイッチ押されたら、確実にバラバラに堕ちてゆく…。



その時は、小田切さんの側に、いられなくなる時かもしれない…。



小田切さん!
小田切さん!
小田切さん…。



酸素を求める魚の様に、息苦しさから逃れたくて、何度も何度も、名前を繰り返した…。




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