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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

「シャァァァー……。」



シャワーをずっと浴び続け、ひたすら洗っても、汚れてる様で落ち着かない。



「小田切さん…。」



今日、心の中で何度も呼んだ名前…。



こんなんで私…小田切さんの側に居ていいのかな…。



きっと、小田切さんは構わないと言ってくれる…。



不安にならないよう、抱き締めてくれる…。



小田切さんに優しくされればされる程、自分が穢れている様に思えてくるに違いない。



嘉之は確実に、私の中に時限爆弾を埋め込んだ。 



「嘉之を選ぶしか…ないのかも…。」



弱気になる。



『ずっと嘉之を見ていたい。』
『大好き!愛してる。』 



そう言ってきたのは自分自身。



嘉之の気持ちが分からなくて、自分に暗示を掛けるかの様に繰り返した言葉。



何ガ、正解ナンダロウカ?



みんなが『理想』を求めると、現実がどんどん苦しくなる。



居心地の良い『偽装』が、今の居場所…でもその先の『現実』は、存在するかさえ分からない。



築いたものなんて、一瞬にして壊れてしまう『現実』…。



私は、どこに向かえばいいんだろう…。

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