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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

「ひ…ひっく…シャ…シャワー…。」



急いで帰りたい一心で、ホテルでシャワーは浴びなかった。



早く、全てを洗い流したかった…。



本当は、薬局に行って薬を買って来た方がいいんだろうけど、外に出る気力はない…。



足が竦み、立ち上がれない。 



私は自分を抱き締めながら、留まることなく涙が溢れていく。



絶対的な力で、屈服させられ…征服力で、支配される…。



怖かった…ただただ怖くて、一分一秒でも早く終わって欲しかった。



今日は…一回も避妊しなかったから…。



「ふっ…くっ…。」



以前、嘉之が何気なく子どもが欲しいと言ってた時、私は嘉之の子供を産みたいと思った…。



子どもが出来ても構わないと思ったけど、嘉之は毎回しっかり避妊してたから、その気は、まだないんだと思っていた。



薄れる意識の中に、辛うじて聞いたら



『…嘉之…してないの?』



『あぁ…気になる?出来てもいいじゃん、子ども欲しいし…。』



その瞬間、恐怖心に縛られ、嘉之が満足するまで繰り返された。



どんな手段を講じても…私の全てを縛り付けて…離さない…。


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