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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

「くっ…。」



泣きそうなのをグッと堪える。



ここで折れる訳にはいかない…。



綺麗にクリーニングされたブラウスに袖を通し、身支度をして、何も考えないよう振り向くことなく、一階に降りて行った…。



◎ ◎ ◎ ◎

嘉之は、私のアパートまで一応送ってくれ、客用駐車場に停める。



ホテルからここまで、私は終始無言だった。



「着いたけど、部屋まで送る?」



私は首を少し振り



「大丈夫…。」



「香織…今日は本当に楽しかったよ…。」



嘉之は優しい声で、そう言うと唇を重ね、触れるだけのキスする。



私は無駄な抵抗はせずに、早く終わることを願いながら、受け入れた。



かなり経って、唇は離れ



「また連絡する…。」



嘉之の言葉に、私は少し微笑んで、ドア開け車を降りた。



背後に、嘉之の視線を感じながら、アパートのエントランスにたどり着き、階段を一気に駆け上がる。



鍵を開けて、中に飛び込みドアを閉める…。
途端、その場に崩れ落ちた。 



「ふっ…うっ…うぅぅ…。ひっく…。」



一気に涙が、流れだす…。


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