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理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

それからは、いつもの嘉之節で喋り出したので、ひたすら聞いていた。



ふと、思い付き



「締め切りいつ?」



「来週の金曜日。」



一週間か…私が持つかな…ダメ元で言ってみるか。



「…嫌じゃなければ、ご飯作りに来ようか?」



「…え?」



「あっ押し売りみたいだったら、あれだけど、洗濯とかもするよ!」



「てか…香織も忙しいじゃん。」



「う…まぁ、私はベースがあるし、スケジュール管理しながら、進めてるだけだから…創作はさ…そんな訳にはいかないじゃない…。身を削るからさ…。」



「………。」



沈黙が痛いよ…。



「は…は…やっぱり、お前って…。」



「なにっ!」



嘉之は人差し指を鈎の様に曲げ、私の唇に当ててきた。




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