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理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

「よっしゃっ!」



空手の様に両脇に拳骨で構え、気合いを入れた。



家に帰ろうと向きを変えると、長身のイケメンさんが、クスリと笑って通り過ぎる。



ヤバ…見られてた…。



一人で照れ笑いしながら、明日もう一度嘉之を訪ねようと決意した。



今日は、しっかり休んで明日に備えよう。



土曜日だけど、下調べで行くところもあるし、絶対この企画は成功させるんだ!



気合いが入ったところで、携帯が鳴った。



「チャチャララ~!」
「誰かな~。」



鼻歌混じりに見ると、嘉之からだった。



一瞬、緊張が走ったが、通話ボタンを押した。



「もし…もし…。」
『今から、来て!』



「今から!?」



てか、さっき行ったのに!



『無理なら、いいや!』
「だ、大丈夫だよ!準備して行くね。」



『家で待ってる。ガチャン!ツー…。』



…ヤバイ…萎えそうになる。



けど、連絡が来て良かった。



「は…ははは…。」




私は、もう一度川を見詰めてから、走り出した。



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