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理想と偽装の向こう側

第6章 予測不可能

お風呂から上がり、髪を拭きながらリビングに向かおうとした時



「たっだ、いま~!」



元気良く、小田切さんの声が響いた。



「お帰りなさい。」



「香織ん、早かったんだ。」



「うん…今日は、必死に仕事したから。」



「今日は、必死にしたんだ~。毎日だと疲れるもんね。」



笑いながらネクタイを弛め、私の横を通り抜けようとしたら



「あ…。香織ん石鹸のいい匂いがする。」



「っ!そんな、おっさんみたいなことを!」



急に言われたので、可愛いげないことを言ってしまったが、小田切さんは然して気にもせず 



「おっさんだも~ん!あれ、これ香織んが用意してくれたの?」



「…はい。」



私は、小さく頷いた。

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