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理想と偽装の向こう側

第6章 予測不可能

木曜日



顔を洗いに洗面所に向かうと、最近すっかり当たり前になった光景が、まず目に飛び込む。



朝からエプロン姿の小田切さんが、裏切ることない笑顔を向ける。



「香織ん、おはよう!よく寝れた?」



「…お陰様で…。すみません…本当に。ベッドまで、運んでもらったんですよね。」



「帰って来たら、床に何か転がってるから驚いて、見たら香織んなんだもんなぁ~。」



めっちゃ笑いながら、言われてしまった。



「はあ…。ついつい…。」



「今度から頑張って、ベッドまで行って寝ないとだよ。」



はい…ごもっともなんですが、貴方を待ってたもんで…なんて言えやしないよ。



「重かったですよね…本当にスミマセン。」



「ははは。大丈夫だよ~一応男だから俺も、そこそこ力はあるし、意外に軽かったし。」



意外に…?



敢えて突っ込まずに、しておこう…。

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