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理想と偽装の向こう側

第6章 予測不可能

ますます、声をかけづらい。



逆に狸寝入りを気付かれないよう神経を集中する。



そんな私の心境を知らぬ小田切さんは、私の頬を指でなぞり唇を掠め一言…。



「…お休み…。」



と囁き部屋を出ていった。



小田切さんの足音が遠退き、ドアが閉まる音がした途端、私はガバッと上半身を起こした。



「な…!!」



ドキドキした~!!!



起きたのをバレないようしてたことより、最後の頬を触れてたことに、意識がいってしまった!



それに『お休み…。』と囁いていくなんて…ドラマみたいだよ!



一応うっすらとは、顔見れたけど…。



両手で自分の頬を押さえる…。



きっと、顔は赤くなってるであろう。



「寝れるかな…。」



橋の上で、あれだけ落ち込んでた気持ちが、あっという間に吹っ飛んでた。 

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