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理想と偽装の向こう側

第21章 逆転

『あいつ~!!後で殴っとくから!』



わっ!本気だ…。



「安岡さん…すみません。甘えついでに部屋に鍵かけてもらえますか。」



鍵かけるどころじゃなかったし。



『分かったよ!後は本当に任せて。俺がまた気を付けとけば…嘉之の頼み事なんかもう訊いてやらねぇ~!』



「はははっ!安岡さんたら!」



『渡辺さん…強いね…。』



「へっ…強くはないです。でも、強くなりたいです。…今度は、ちゃんと大事なモノ守りきりたいので!」



電話ごしに、安岡さんの鼻をすする音が聴こえ



『渡辺さん…明日まで嘉之見張っとくから!もう本当に関わらないでいいからね!鍵はアパートのドアポストに入れておくよ!』



「すみません…助かります。」



『元気でね…。』



安岡さん…。



「はい!安岡さんも!ありがとうございました!」



プツン…ツー。



最後の最後まで、安岡さんの優しさが胸に滲みた。

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