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理想と偽装の向こう側

第21章 逆転

「んっ…はぁ…。」



敢えて声を出しておく。 



舌が絡み付いてて、息がしにくいけど辛抱しながら、足を上手くずらしていく。



あと…少し…。



「んっ!んん~!」



「香織…。」



届いた!



「嘉之…。」



ごめんね!



「ガッシャンッ!!」



「なっ…つっ…。」



ベッドサイドにあったアンティークのスタンドランプを倒し、ガラスの笠が嘉之の頭上に、上手くぶつかった。



「痛っ!」



嘉之が頭を押さえて、身体を浮かした隙に急いで、抜け出す。



「て…おい!」



かなり打ち所が悪かったのか、思いの外動かない。



必死に縛られた手で、何とかパスポートとバッグを掴み、急いで外に飛び出した。

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