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理想と偽装の向こう側

第21章 逆転

「嘘…じゃあ、何で気持ち試すような事したのよ!」



「してねぇよ!」



私だって、キレるわ!



「元木さんの事だって、私納得出来なかった!」



嘉之は、怪訝な顔して



「元木は関係ないだろ!」



「あるわぁ!だいたい昔どんだけフラれたか知らないけど、何で『好き』の一言も言えないのよ!」



「ちっ!」



「私は、その一言さえもらえたら、嘉之に何が何でも着いてく決意してたのに!」



「えっ…そんな一言で…。」



何故か異様に、驚いている。



「そうよ!それくらい単純よ!何も要らなかった!欲しかったのは『好きだ』って一言だけよ!」 



胸のつかえ取れた様に、涙が一気に溢れだした。



言った…今更だけど、言いたくて言えなかった…ほんの些細な一言…。



こんな事で、私たちは簡単に壊れていったんだ。



なのに…嘉之は唇を噛んで、固まっていた。

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