テキストサイズ

妄想しながら素直になろうよ

第9章 映画で妄想

「王子。大丈夫ですか?辛かったら、終わりにしましょうか?」


肩で息をして、胸は大きく前後に揺れている。
激しすぎる快感の余韻に、身体は細かく痙攣していた。

そんな王子が腕の中にいるという事が、この上なく幸せだと思ってしまう。
快感を身に纏い、それを全てこの身体で表現している王子が、健気で愛らしく、愛おしい。


ギュッと抱きしめ、ぐったり放心している王子にキスの雨を降らせた。



「っ・・はぁ・・だぃ、じょ・・ぶ・・」

「ねぇ、ほら。前、見てみてください」


足を大きく開脚したその間から、守護体が正面に見える。

今受け取った王子の生気が幼木の守護体に巡り、その幹を太らせていくのが目に見えて分かる。
枝が伸び、幹が膨らみ、葉が茂る。
みしみしと音を立てながら、始めの倍程の木に成長した。



「すご・・い」

「でしょう?王子の生気のおかげです。守護体が完全に成長しきったら、この森は誰にも侵略を許さない平和なモノになりますよ」


感謝と愛おしさを込めて、王子の額を何度も撫でた。
汗で頬に張り付く髪の一房を払ってあげながら。



「まだ完全ではないんだろう?」

「そうですね。人間で言うならまだ子どもです。頑張れますか?」


王子は俺の手を取り、頬に触れさせた。
瞳を閉じ、うっとりとすり寄せる。


「加瀬宮が、抱いててくれるなら」





この世界にこんなに愛らしい生き物を創造した神に感謝した。
ほんと、俺をどこまで惚れさせれば気が済むのか。
これが計算なんだとしたら、俺には抗う術がない。




再び蔦が伸びてくる。
ただ、先ほどよりも一回り成長して親指程の太さになっていた。


背中から腕を回してきつく抱きしめる。
頬を背中に押し付けて、小さく「愛してます」と囁いた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ