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乾いた空

第3章 三章





見た目Sは父と同じぐらいの年齢に見えたが実際は父より10歳近く離れていた。

更に僕があの頃日本にいれば、大学の先輩でもあった。大学院まで行き、政治家秘書となり、不正を起こした政治家の犠牲となって刑務所に何年かお世話になり、自力で這い上がって会社を立ち上げたが政治家の陰湿な邪魔にあい、会社はあえなく五年で倒産。従業員を何十人と抱えていた為、従業員の給料と退職金だけで金は尽き、家のローンや会社のビル等のローンがかさみ借金を背負い、妻とは離婚。

二人の息子は妻の元に行く事となった。

その政治家は大した病気ではないがステージ2の初期の胃癌で父と同じ病院へ入院。

当時清掃員をしていたSは偶然にも会ってしまい、何故だか洗濯室にあった白衣を勝手に着て医務室へ入り込み、注射器と*筋弛緩剤を盗んでは大量に注入した。





*筋弛緩剤(きんしかんざい)
神経、神経細胞を麻痺させ、呼吸器不全を起こさせる。
アメリカの死刑制度でも使われている。

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