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?…好き…?

第16章 そして…

『ちゅ~したい、もっと言ったらおっぱい触りたい、もっともっと言ったらお尻も触りたい、ホントはHしたい、無理だろうけど』
何か反応を示してくれはしないかと、フザケた調子でメールした。
返信はない…
勤務がすれ違いで、少しだけ顔を合わせても、彼女はただ普通に話すだけ…
ただ…
普通に…
俺は、何を期待しているのだろう…?
何もないまま、時は過ぎてゆく…
半月経ってしまった。
とある俺の夜勤明け。
俺は、彼女の為に、少し余分に仕事をしておいた。
「ありがとう、が聞きたくて、頑張っちゃった」
「は?アタシそういうのイヤ、別に頼んでないし、そんな風に言われるなら、自分でやるわよ」
彼女が笑顔で、ありがとう、と言うのを、見たい、聞きたい。
俺の中のほんの細やかな想いで、彼女を怒らせてしまった…
「ごめん…そんなつもりじゃ…押しつけるつもりじゃ…ホントにごめん…」
ダメだ…
何をしても…
ダメな時は全てダメだ…
「アナタがしてくれることに、感謝はちゃんとするけどね…」
そうは言ってくれたが、かなり気に食わない言動だった様だ…
益々、なんの誘いをかけることも、出来なくなってしまった…
なんて…
俺は、馬鹿なんだろう…
そうそう電話が出来ない彼女…
メールも見たり、見なかったり、の彼女…
会った時しか、彼女の反応は分からないのに…
今月のほんの僅かな、職場でのその時に、怒らせてしまうなんて…
数日後、また彼女とはズレた勤務時間帯。
数時間だけ、一緒に勤務した日。
喫煙所から戻った彼女。
「ありがとう、だよね?」
「え?何が?」
「喫煙所の灰皿綺麗にしてくれたのアナタでしょ?今日やってくれる人、アナタだけだもん」
優しく笑って、言ってきた…
俺の望む…
彼女の『ありがとう』…
「あぁ、うん、やっといた、いっぱいだったからね(笑)」
次の日も、ほんの小さなことで、彼女は何度か
『ありがとう』
をくれた。

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