無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

煙草を吸い終えて、彼女の車に戻る。
「はいっ！お土産っ！」
さっき買ったお菓子を渡す。
「わぁ～、コレ好き～、おいしいよね～」
良かった。
喜んでくれた。
○○駅へ向かって、暫しのドライブがまた始まる…
俺は、ほとんど聞き手にまわる。
彼女は、色々楽しそうに喋る…
こんな風に…
彼女の話を聞いていられるのは、嬉しい…
そうこうしている内に、○○駅までもう間近だ…
「どこで降りるぅ～？どっち側がいぃ～？」
「どこでも～、今更急ぐ必要もないしねぇ～」
「ほんとにぃ～」
「あぁ、なんだったら、アンタん家の近くでも構わないよ」
「じゃあ、行こぉ～」
「お好きにしてちょうだい…」
○○駅を通り過ぎ、彼女は家の方に向かう…
彼女が話しているのも手伝って、あっという間に、あの場所だ…
何度か来たことのある、路駐出来るあの場所…
「アラ珍しい、今日は他の車が、一台もいないわ」
「ホントだ…だけど…着いちゃったな…」
辺りは、暗くなり始めていた。
彼女は車を停めた。
「んしょ」
「あれ？何でエンジン切っちゃうのさ？」
「さっきくれたお菓子、一つ食べちゃお」
「えっと…俺はどうすれば…？帰っていいのカナ…？」
「食べ終わるまで、待ってなさい(笑)」
「あぁ、そう…けど…いいのか…？場所…変えなくて…？」
彼女は、俺の言うことなど気にもせず、コンビニの袋からお菓子を取り出し、ムシャムシャと食べ出す…
なんなんだ、この状況は…？
すぐそこの、家に帰らず、何でここで…
俺を、隣に置いたまま…
お菓子を食べるんだろう…？
ホントに…
何考えてるんだ…
この女（ひと）は…？
でも…
帰れない俺…
離れたくない俺…
もう…
バイバイがすぐ目の前に、迫っているのが分かってて…
少しでも…
長くいたいと…
思う俺…
「あ～っ、やっぱりコレ美味しいぃ～」
ハハ…
能天気な女（ひと）…
でも…
そんな彼女を…
俺は…
「あ～、食べ終わっちゃった、ごちそうさまぁ～」
「じゃ…俺は帰らなきゃ、だね…」
ドアを開け、車から降りる。
車の外から、運転席側に回る。
もう、暖かくなり始めた季節。
彼女は、窓を開けていた。