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?…好き…?

第32章 ドライブ…

「○○ちゃん、大きくなったわよぉ~、見ていきなさいよぉ」
「え…!?…、だってここで…?…、車ん中で…?…」
彼女が、子供達を迎えに行く為に停めた駐車場で、長居をしていいのか、戸惑った。
この場所に来たのは初めてではないが、以前に来た時には
『じゃあね』
もロクに言わず、小さく軽く、バイバイと分かるかどうか位に、ゼスチャーをして、お互い別の方向に歩いて行った。
彼女の子供達の保育園の関係者に、見られたりしてはいけないのではないかと思っているからだ。
「そう、急いで迎えに行って来るから、待ってなさいよ」
「だけど、病院行くのに急いでんだし…」
「大丈夫よ、待ってて」
「うん…、分かった…、じゃぁ…、待ってるょ…」
戸惑っている俺は、尻窄みな言葉で答えていた…
「じゃ、行って来るわね」
彼女は車を降りて行った…
何だか、どうしていいのか分からなかった。
車の中で、大人しくすべきと思った俺は、携帯を取り出して、ゲームをしてみたりした。
だが、楽しくも何ともない。
その携帯の時計を見ていても、ちっとも時間が経たない。
全く落ち着かないのだ。
煙草が吸いたい。
落ち着かないからか?
彼女の車は禁煙だ。
でも、車を降りたら目立つんじゃないのか?
なのに、煙草を吸いたい衝動が止まらない。
と云うか、それしか浮かばなかった。
戸惑いの中、俺は車を降りてしまっていた…
車の後ろの金網との間に、俺はデカイ図体を縮めた。
煙草を吸う。
でも結局、そんな場所で落ち着く筈もなかった。
煙草を一本吸い終わり、隠れる様に車に乗り込んだ。
暫くして彼女が子供達を連れ、歩いている姿が見えた。
俺は少しホッとした感じだった。

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