無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「俺さ…、○○さんの事、話聞くと…、なんか無茶苦茶妬けるんだよな～…」
「え～っ、なんで妬くのよぉ～っ」
俺はしっかりと、彼女の手を握っていた。
俺の知らない、彼女の話。
俺は、今の彼女の事は色々知っているのだろう。
でも、それさえ、『おそらく』だ…
彼女が話しをする相手の中で、『おそらく』俺が一番長い時間を供にしているであろう。
それだけだ。
その男性は、俺よりずっと長く彼女を知っている。
「分かんねぇ、分かんねぇけどさぁ…、そもそも、○○さんの事はお兄ちゃん、って言うじゃん？じゃ、俺は？」
自分でも、どんな返事が返ってくるのか、全く予想も出来なかったし、何を期待しているのか、説明もつかないが、何かを期待していたと思う。
「え？アナタ…？アナタは…、う～ん…、アナタよっ！(笑)」
何を期待してたのだろう。
ある意味、最も彼女らしい返事だ(笑)
「何だよそれっ(笑)」
そうこうしている内に、もう俺の家まで直ぐそこだ。
「どこで停める？」
「あ～…、じゃあ～…、も少し先の、あの店の駐車場がいっかな」
数分後、その店の駐車場に車は入った。
俺の中で、何かが納得いかなかった。
このまま、サヨナラなのか…
「一服しよっか？」
彼女が言った。
彼女も？
まだ帰りたくない？
そうあってほしい。
そんな風に、俺は思っていた…
握っていた手を、離すのは忍びなかったが、もう少し、彼女といられる…
「うん、そしよっか」
車は、駐車場の壁に後ろを向けて停まっている。
車を降りて、車の後ろの壁との隙間で、煙草に火を点けた。
「さっき買い物してる時さ…」
俺から話し始めた。
「なぁに？」
「お父ちゃん、って言ったじゃん？」
「言ったわよ？」
彼女の口振りは、だから何？と言わんばかりだ。