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?…好き…?

第31章 帰り道…

ここからだと、20分かからないか…
もうすぐお別れかぁ…
「今日は、久しぶりに2人だったね、ショッピングにお茶して、楽しかったかぃ?」
俺は、彼女の左の手を、右の手で握った…
次にこんな風に過ごせるのは、いつになるのか、全く分からない。
彼女の手を取ったのは、半ば耐えられなかったからだ。
雰囲気とか、流れとか、そんな事考えもしなかった。
ただただ、彼女と離れるのが嫌だった。
「うん、楽しかったわよぉ、まさかっ!?、アナタは楽しくなかったって言うのっ!?(笑)」
彼女が手を振りほどいた。
彼女は、笑っている。
ふざけているのは分かった。
なのに、俺はちょっとおセンチになっていた。
「何でだよっ?楽しかったに決まってるだろっ、楽しかったからこそ、そっちが楽しかったか気になって、手握って訊いてるってのに、ソレ振りほどいてまでふざけんなよっ(笑)」
言いながら、もう一度彼女の手を握った。
そんな時、何故か彼女の話が、以前一緒に働いていた経緯のある、現在別の部署の男性(ひと)の話になった。
「○○さんは、お兄ちゃ~ん、って感じなのよねぇ~」
今までにも何度か聞いた言葉。
彼女は昔、職員旅行の時に、その男性と一緒に行動したりもしたらしい。
そして、食事をしてお腹がイッパイになると、ジーパンのファスナーを開け、オイ、パンツ見えっぞ、別に減るもんじゃ無し、などと会話をしたらしい。
「あの頃の職員旅行は良かったなぁ~」
その男性の話題になり、俺は何故か無性にイラついた。
その時代の職員旅行を、俺は知らない。
その頃俺は、別の職業に就いていた。
当然、彼女に出会ってすらいない。
そんな昔話だ…

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