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?…好き…?

第27章 復帰…

そして…
彼女の顔を、じっと見つめた…
「何よぉ?歯に海苔でも付いてるぅ(笑)」
嫌がられてる、そんな気がした。
やっぱりか…
そんな風に思った。
赤ちゃんが産まれて…
生活も忙しくなって…
俺の事なんて…
そもそも、俺は遊ばれてただけ…
どうせ俺なんか…
そろそろ、休憩時間も終りだ…
「ん~…、唇奪ってやろうかと思ったけど、やぁめたぁ~っ、今、嫌そうな顔したぁ~…」
俺は、彼女に背を向け、仕事場に戻ろうと歩き始めた。
悔しかった…
がっかりしていた…
彼女も、俺を追う様に、立ち上がり、歩き始めた。
呼び止める様に、言った。
「違うわよぉ…」
「何がだよ…、違わねぇだろぉ~、嫌そうだったっ…」
「違うのっ、これでも、照れてんだよぉ」
…!?…
「へぇ~っ、今更俺なんかに?よく言うぜ(笑)」
「アタシ、そんなにすれてないでしょ(笑)」
「フッ…」
今度は、嬉しくなっていた…
………
その日の午後、決して狙ったワケではないのだが、又、喫煙所で一緒になった。
彼女は、昼の事など、何も無かったかの様に、普通にお喋りをした。
そう、俺が
『唇奪おうかと思った』
そう言った事など、無かったかの様に…
でも、俺は違った…
昼休みが終わるその時の、彼女のその台詞が、頭から離れていなかった…
『照れてんだよぉ』
照れてる…?
俺が、じっと見つめたから…?
『唇奪おうかと思った』
そう言ったから…?
そんな事ばかり考えて、彼女の話は半分も耳に入っていなかった。
そう云えば、いつかこんな会話をした…
「この歳になって、女として構ってもらえたら、それだけで嬉しいものよ…」
「俺なんかにでも?」
「うん、もちろん」

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