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「お早うございまーす…」
………
考えてみれば…
あの日…
初めて彼女と職場外で過ごしたあの日…
彼女の手を握り、彼女にハグされたあの日から…
もう１年以上になるか…
そんなことを思いながら、彼女の復帰を迎え入れた。
「お帰りっ…」
俺は、彼女を抱き締めた。
「ただいまぁ」
……………
ほんの１年前なら、考えられなかったシチュエーション…
俺が…
妻以外の女性を抱き締めるなんて…
この１年…
俺は何をしてきたのだろう…
色んな事を考えてしまう。
だが、彼女を前にすると、全てがちっぽけに思えてくる。
病気を抱え、手術をし、それでも前向きな彼女。
そんな彼女の朗らかな微笑みが、俺を魅了する…
それからの日々は？
と、言っても特に代わり映えしなかった。
ただ、俺達の仕事は不定休なので『毎日』とはいかないが、職場で週に一回以上は、彼女と勤務が一緒になった。
それが俺には、とても楽しく、嬉しくもあった…。
昼の休憩が一緒になった時などは、彼女とよくお喋りをした。
と、言うより、彼女がするお喋りを、よく聞かされた、と言う方が正しいかもしれない。
彼女は
「○○ちゃんがね」
と子供の話、赤ちゃんの話をする。
「旦那がさ」
と愚痴をこぼす…。
こんな極普通の事が、日常的にある、たったそれだけの事が嬉しかった。
彼女が産休を取り、職場復帰するまで、ほんの数ヶ月のある意味スピード復帰だった。
でも、そのほんの数ヶ月が、俺にはとても長かった、と改めて感じていた。
彼女が職場に居る、ただそれだけの事が、俺を高揚させた…
たが…
同時に…
彼女が実際に近くにいる事が、俺を動揺させもしていた…