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?…好き…?

第26章 …kiss…

彼女は、本当に色んな話をした。
今の生活状況が、そうさせるのかもしれない。
本来なら、自分の赤ん坊に夢中になる時期だろう。
彼女は、病気の為に、母乳があげられない。
治療の為に、毎日赤ん坊を家に残し、病院通いだ。
さて、病院に到着する。
少しの距離だが、院内を彼女と歩く。
「それじゃね、この先が喫煙所なの分かってるでしょ?」
「あぁ、行ってらっしゃい、適当にやってるよ」
しばしの間、彼女とお別れだ。
正直、病院で待っているってのは退屈だ。
でも、彼女は今、毎日の様に、独りでコレをしているのだ。
そう思えば、しかも、彼女が戻ってくるのを、待っているのだ、考えようによっちゃ、楽しくも嬉しくも、思えるってものだ。
喫煙所に行き、一服する。
だが、ずっとここにいる気にもなれない。
彼女は治療の為、本当は煙草を少し控えなければいけないのだ。
さすがに院内の喫煙所では、彼女は吸えないだろう。
彼女が戻る前に、と思って一本で喫煙所を出た。
適当に歩いていると、彼女と出くわした。
「お」
「アラ」
2人とも、それが当たり前の様に、並んで院内を歩き、駐車場へ向かった。
再び彼女の車に乗り込む。
「とりあえず、飯か?」
「そうね」
近くのレストランに入った。
「ここ、料理イマイチよね」
「デザートにすっか?(笑)」
2人ともデザートを注文する。
デザートがテーブルに運ばれた。
彼女がいきなり俺の注文した方に、スプーンを突っ込み、それをペロッと舐めた。
「あま~いっ」
俺は甘党だ。
「もっと喰えば?」
「こんなに甘いのアタシそんな食べられないわ(笑)」
「アハハ」
結局、デザートだけで、その店を後にした。

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