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?…好き…?

第26章 …kiss…

「うん、またね」
彼女は、手を振り去っていった…
『またね』…
今まで人生の中で、彼女との関わり以外で、この言葉を、こんなに意識したことはなかったかもしれない…
『またね』…
本当にまた会いたい…
この月、家族と過ごせない休みが、もう1日あった。
およそ1週間後。
先日、彼女にメールで伝えた、休みの一つだ…
彼女は
『いつでもOK』
そう返事をしている。
今日まで、約1ヶ月会わなかった。
そんなに直ぐ、会えるだろうか…?
いや、会ってくれるだろうか…?
それに、妻が…
………
俺は、その約1週間を悩みに悩んだ。
でも、その日を逃したら、また当分の間、家を脱け出すことすら出来ない…
本当に家族との時間も、大切に思っている。
しかし、どうしても、彼女に会いたかった…
なるようになれっ…
休みの前日、彼女にメールした。
『明日、大丈夫?』
と。
意外なほどアッサリ、OKをもらった。
彼女にしてみれば、平日毎日の、退屈な昼食を、人と過ごせる、それだけでいいのかもしれない。
それでも、俺は嬉しかった。
翌日、俺は嘘をつき出掛けた。
2週連続で、人妻とランチ、とは言えない。
妻は、おそらく疑っていた。
それでも、俺は出掛けた…
彼女と落ち合う。
病院に行くよりも前から。
今日は彼女一人だ。
病院までの道のりを、途中コンビニで一服しながら、軽く彼女の車でドライブする。
例によって彼女のお喋りを聞く。
旦那や子育ての愚痴、病気の治療の事…
彼女の胸は今、放射線を当てる為、油性マジックでマーキングされているらしい。
彼女はよく喋った。
そうして話すだけでも、彼女の気分は違う様だ。
だから、俺は話を聞いた…

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