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?…好き…?

第25章 治療…

病院に着き、車を降りる。
チビちゃんが彼女ではなく、俺に駆け寄る。
「おじちゃん、おんぶして~っ」
チビちゃんは俺に、正面からしがみついてきた。
「それはおんぶじゃなくて、抱っこだろ(笑)」
「だっこして~」
チビちゃんを抱える。
顔を見合わせた。
なんと言えばいいか、お互いに、極自然に、犬や猫か、ぬいぐるみでも抱いているかの様に、頬を寄せ合っていた。
隣には彼女が微笑む。
こりゃ、端から見たら、完全に家族…だよ…なぁ…
「まったく、優しいから、甘えちゃって」
「いいんじゃねぇ~、そういう知り合いが居るってのもぉ~(笑)ま、悪いことしてたら、甘やかすワケにゃいかねぇけどよ(笑)」
チビちゃんは、おそらく保育園くらいしか、身内以外との付き合いはない。
俺の様な、他人が居るのも、いいのではないのかと思う。
俺と彼女との関係を、別にすればだが…
受付に着いた。
「それじゃ、行って来るわね、子供お願いね、長くても20分後くらいには戻れると思うから」
「あぁ、行ってらっしゃい」
「おかあさんどこいくの~」
「お母さんは、お医者さんに病気を診てもらいに行くんだよ、すぐ帰って来るから、おじちゃんと待ってような」
「わかった~」
チビちゃんは母親が居なくても、泣いたり我が儘も言わず、俺になついて、元気に遊びながら待っていてくれた。
子供は無邪気でいい。
それに引き替え俺は…
最低だ…
あっという間に、彼女は治療を終えて帰って来た。
「早かったね」
「うん、放射線はだいたい予約通りに終わるからぁ」
彼女は微笑んだ。
彼女の出産の面会から、一月弱。
久しぶりに見た、彼女の微笑み…
「これからどぉするぅ?」
ほんの何十秒だっただろうが、彼女に話しかけられた時、ハッと我に返ったほど、俺はその微笑みに見とれていたらしい…

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