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?…好き…?

第23章 赤ちゃん…

早く…
会いたい…
やっとの想いで、彼女の入院する病院に辿り着いた。
本当に面会時間ギリギリだ…
俺は、最初迷子になりそうな病院だったが、彼女の事で何度か来ているうちに、大分勝手が分かる様になっていた…
ケーキを片手に、面会者の入口へ真っ直ぐ向かう。
受付で用紙に記入する…
この半年の内に、ここで彼女の名前を何度書いただろう…
入院の病室の場所も、棟名と何号室かで分かる様になっていた…
○階のこっち側か。
エレベーターに向かった。
エレベーターの前で昇りのボタンを押して待つ。
亭主でもないのに、この時間に産婦人科に面会か…
正直、気が引けるし、緊張する…
そんな事を思っている内に、エレベーターが到着する。
直ぐに彼女の居る階のボタンを押して待った。
彼女の元気な顔と、赤ちゃんを見て、ケーキを渡して
『おめでとう』
を言って帰ればいい…
それだけだ…
エレベーターを降り、病室へ向かう。
当然だが、やはり女性が多い…
出産前でお腹を抱えている人…
点滴を着けたままゆっくり歩く人…
皆、病院の物であろう薄いガウンの様な、入院着とでも言うのだろうか、そんな感じの物を着ている…
えっと…
○号室だったな…
俺はすんなりと彼女の部屋に向かった。
女性だらけで気まずい事以外は。
相部屋だ。
名札を見る。
ベッドの位置と同じに名前が並ぶ。
やっぱり気まずい、と思いながら、部屋の中へと進む。
皆、カーテンが閉まっている。
彼女のベッドであろうカーテンの前で立ち止まり、彼女の名を呼んだ。
「○○さ~ん…」
彼女の名を呼んだのは久しぶりだ…
職場では名前を呼ぶ必要もあるが、彼女が産休に入って1ヶ月以上…
電話だったり、会ったり、直接彼女と会話していると、名前を呼ぶ必要がなかった。

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