無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

良かった…
産まれたんだ…
何だか意外と呆気なかったな…
これで…
これでもう…
俺とは…
仕方ない…
仕方ないさ…
彼女はこれから、きっと自分の病気の治療に入る筈。
彼女の病気は、終わっていない。
いや、それどころか、赤ちゃんも産まれて、寧ろ忙しくなるのはこれからだろう。
彼女の邪魔にはなりたくない…
彼女の病気…
転移はなかったらしい。
再発なんて絶対しないでくれよ…
神様…
これ以上…
赤ちゃんに母乳もあげられない彼女に…
これ以上…
試練を与えないで…
………
もう…
今度こそ本当に、彼女に男として関わることはやめよう…
そう思い始めていた…
………
夜になって携帯が震える…
ん…？
あっ!?
彼女から!?
他人からしてみれば、また、と思われる展開だが、やっぱり俺はドキリとした。
入院中で暇なのかもしれないが、たまにしか来ない彼女からの連絡。
毎度意表を突かれる…
メールだ。
『明日休みですか！生クリームたっぷりのケーキが食べたいですね、因みに部屋は○○棟ですよ』
え…!?
来いって…
言ってるのか…？
産まれた、としてきたメールは、俺のメールを読んだ後のものかと思っていた…
そのメールで何も言って来なかったから、やっぱりもう誘われることはないのだ、と思っていた…
おそらく彼女は、後から俺のメールを見て、このメールをしてきたのだろう…
赤ちゃん…
見たいなぁ…
いや…
彼女と会ってから、もう３週間以上…
彼女に会いたいのか…？
クソッ…
どうする…
俺はどうしたい…
いったい…
彼女は…
何で俺を…
いったい…
俺は…
……………
翌日、夕方まで家族と過ごすことにした。
それまでに考えよう…
家族と買い物をする。
時間が経てば経つほど、想いが膨らんだ…
行きたい…
行きたいよ…
やっぱり行きたい…