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?…好き…?

第21章 出産間近…

翌日、俺は職場で、彼女の置き去りになっていたユニフォームを鞄に詰め込んだ。
明日…
半月ぶりに彼女と会える…
そう思うと、仕事も手につかなくなりそうな気持ちだったが、そうもいかない。
逆に明日のことを考えて、自分の気持ちを上げて一所懸命仕事をこなした。
でも…
彼女の出産予定まで、もう一月を切った…
彼女は元々持っている特定疾患のこともあり、計画的な分娩だ。
経産婦だし、赤ちゃんの成長具合などで、多少早まることがあるにしても、ほぼ予定通りの出産…
明日こそ、まともに会えるのは最後かもしれない…
俺は、そう考えると、又気が重くもなっていった…
赤ちゃんが産まれたら…
その時、彼女は連絡をしてくるだろうか…?
考えてみれば…
この半月だって、こちらの連絡に応えてきただけだ…
前回彼女が入院した時は、病気の手術…
あの時は、いつも明るい彼女だが、きっと色々な、不安や心配にかられていたのだろう…
その時一番近くに俺が居た、ただそれだけなのかもしれない…
今度は出産だ…
何だかんだと言っていても、夫と愛し合い、作った子供…
きっと…
自分の親や兄妹、そして夫に子供と、楽しく幸せな入院生活を過ごし、退院して行くのだろう…
俺の出る幕などあるワケがない…
もっとも…
それ以前に…
俺が、ドタキャンしたりもしているワケで…
彼女の中で、可愛い子供が産まれたその時に、呼ぶ相手ではなくなっているだろう…
そういう意味では、それにも関わらず、こんな普通に…
こんなにも何事もなかったかの様に、極普通にユニフォームを持って来て、と言う彼女が不思議だ…
本当に何を考えているのだろう…?
俺の頭には…
『アタシって…冷たいから…』
あの日の言葉が消えていないというのに…

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