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?…好き…?

第20章 出産前…

わざわざ日に2回も電話して、留守録にも何も言わず、話したかったのは
『ドタキャンしてゴメン』
これだけなのだ。
おそらく彼女は、そんな下らないことで、と思うに違いない…
何で俺は、必死になって、電話などしてしまったのだろう…?
後悔先にたたず、だ…
後先考えられなくなるのは…
彼女に対してだから…
なのか…?
でも、やっぱりまだ彼女と直接話したかった。
1日空けてからだったろうか、仕事を終えた夕方、もう一度電話をしてみた…
何時もの、あのメロディ…
………
『只今電話に出ることが…』
ダメだ…
もうダメだ…
やっぱり…
彼女が産休に入った今…
職場で会う、という必然性がない今…
直接話すことすら、ままならないんだ…
そう思って俺は、酷く落胆していた…
だけど…
何で俺は…
こんなことで…?
……………
翌日、又気付かぬ内に、正確には気付きようがなかったのだが、彼女から携帯に着信があった。
その日、俺は仕事だった。
職場は携帯の繋がりが悪い場所が多く、例え携帯を肌身離さず持っていたとしても、後から着信の通知が来るような状態なのだ。
何で…?
何で俺が出られない時に…
チクショウ…
いつまでも、彼女と話が出来ない…
仕方ない…
とりあえず、メールをしよう…
『何度も電話をしてしまい、すみませんでした、先日こちらが誘ったのに、○○駅ドライブに行けなかったので、お詫びしたくて電話をしました』
これくらいしか出来なかった。
思いつかなかった…
彼女からは、何も返信は無かった…
ダメだ…
やっぱりダメだ…
そうだよな…
もうすぐ臨月…
産休なんだ…
そしてそれから…
赤ちゃんが産まれる…
きっとこれから先…
予想通り会えないんだ…

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