
私
第3章 一年前
「百合子様はここ二年ばかり特にお身体が優れず、弱っている身体には冷たい空気や風は良くないですわ。私達は本当に心配なんです。」
表情1つ変えずに言った民江が怖く感じた。
「私のことを思って言ってくれているのは嬉しいけど、私の好きにさせてちょうだい。ここはお父様と私の家なのよ。」
「分かりました、お父様にご相談してみますね。朝食なので着替えて下に降りて来て下さい。」
民江は自分を何とか落ち着かせようとしていたのか、震えた手を押さえつけるかのように持っていたシーツで隠してはその場を去って行った。
