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第3章 一年前




門の前に着いた。



真っ赤な門はまるで血を染められたかのように不気味さを増していた。



そこに真っ白な紙が何枚か貼られていたが雨で濡れていたせいかヨレヨレになっていた。その紙に書かれていた筈の言葉は筆で書かれていたのか、文字がすっかり流されていて殆ど分からない状態だった。



「この紙が気になったのですね。錆止め用のペンキですよ、後からまた以前のように黒く塗り替える予定なんですよ。ですから、お客様がいらしたりしたら危ないので"ペンキぬりたて"と書いてあるんです。」



お客様…


もう何年も来客どころか夫となった人さえ来ないのに。


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