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それでも、私は生きてきた

第62章 母の望み

母からの返信は早かった。


お母さん、救われた〜!ずっと辛かったの。お母さん、ずっとユリに許されたかったの。やっと解放された。ありがとう!



ホッとした。
けど、
悲しかった。


母は、罪の意識から解放されたかった。

母の望みは、ずっと感じていた。

私は、今でも人の指差しでさえも苦手。
ゾクッとする。

母の包丁が蘇る程ではないが、
指差しをされた瞬間、ペン先などを向けられた瞬間、
怯えるまではいかないが
ゾクッとしてしまう。


許されない苦しみは、
私にもわかる。

私も、
母に許されたかった。



ねぇ、お母さん。過去の事は、私はもう何も気にしてない。だから、お母さんも、その包丁の話は忘れてよ。私も…お母さんに許されたい…。



送信ボタンを押す指を震わしながら、ゆっくり…
カチッ…
と、送信した。



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