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暗い少女は明るい少女?

第56章 今しか出来ないこと

あちこち歩き回った僕たちは倉敷駅近くのホテルに宿泊することになっていた。
夕食は駅の近くのサイゼリヤで済ます。
つくづく思う。

「どうしてこのレストランは地元に無いのかな。」

「本当に。」

灰音と如月が言う。
東京に行った時も思ったが、全くの同感だ。
僕はペペロンチーノ、灰音はエビクリームグラタン、如月はシーフードパエリア、相沢さんはカルボナーラだ。
僕と相沢さんはフォークをスプーンの上で回してパスタを食べる。
そうすると綺麗に食べられると幼い頃、母に教えてもらった。

「相沢さんはともかく、柊一って…」

如月が僕を見る。

「何?」

「上品だよな。男のくせに。」

男のくせにって言葉が気にかかるが、如月なりの褒め言葉らしい。

「上品というより、こっちの方が食べやすいだろ。だから。」

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