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暗い少女は明るい少女?

第39章 雪色旅行

僕は気に入った絵が二つあった。
トーマス・ゲインズバラの「庭園での会話」という絵である。
男の人と女の人が庭園のベンチに腰掛け楽しげに会話している絵であった。
笑顔と言うべきかは難しいが穏やかな表情の男女だった。
何だか微笑ましく感じた。
もう一つはヨハネス・フェルメールの「天文学者」。
そう、あのフェルメールである。
「真珠の耳飾りの少女」とはまた違う感じだった。
説明にはフェルメールが洗練をきわめた1660年代の最後を飾る傑作に位置づけられていると書かれていた。

一方、灰音も気に入った絵があると僕に教えてくれた。
ティツィアーノの「鏡の前の女」と言う絵である。
白い肌の女の人が右手で金髪の髪を整えている絵であった。
とても綺麗な女性の絵である。
ティツィアーノがこの絵を描いた頃、ヴェネツィアでは麗しくも官能的な女性を描いた美人画が流行していたらしい。

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