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ふしだらと言わないで

第5章 慰み者の娘 2

 過労と言われた
 働き詰めだったのは確かだ

 疲労が溜まっていた所に、宴でのオーバーワークがとどめを刺し、体調を崩して寝込んでしまっていた

 時刻は昼過ぎ
 同室の愛華は仕事に出ている
 私は一人で天井を見上げた



 誰もいなかった
 静かで、無音で、何もない



 前はこの感覚が日常だった

 ママは仕事に行き、父がギャンブルしに出かけると、ぽつんと一人家に残された私はこの静寂を味わった

 おじ様に拾われてから忘れていた

 息が熱で荒くなる

 そっと孤独が寄り添ってくる恐怖

 金もなく、食べ物もなく
 数日間家に放置された痛い記憶

 ふらふらと外に出た時
 痩せすぎてて汚かったからだろう
 私はオバケと呼ばれた



 早く治さなければ…
 そう思うほどに空回りして熱が上がってる気がした

 お仕事をしないと
 必要とされていなければ

 おじ様は非情な方だ

 ここから追い出されるのだけは涙が出そうなくらい嫌だった

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